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デザインの数学的考え方「黄金比、白銀比、青銅比」に迫る
デザインの良し悪しは、デザイナーの技術とセンスで決まる、とは限りません。実は、私たちが何かを見て「美しい」と感じたとき、そのデザインはある決まったルールのもとに作られている可能性があるのです。
ここでは、プロのデザイナーなら誰もが知る基本ルール「貴金属比」と、その中でも広く知られている「黄金比」、「白銀比」などについてお伝えします。
デザインと数学の意外な関係
「貴金属比」という言葉をご存知でしょうか。これは、デザインを行う際に知っておくべきルールのひとつです。“比”とは数学用語で、四角形のタテとヨコの比率を指します。
ある特定の比率でデザインを組みたてると、見る側の心を惹きつける美しさや安心感を与えることができる。それが「貴金属比」なのです。
「貴金属比」を知らなくても、その代表的な比率である「黄金比」は耳にしたことがあるのではないでしょうか?有名なところでは液晶テレビの画面(9:16)が黄金比に近いとされています。数学的な考えが苦手な人も、テレビ=黄金比と考えると身近に感じることができますね。
では、黄金比を始めとする貴金属比の比率と、それらが用いられたデザインの例を見ていきましょう。
黄金比
四角形のタテとヨコが1:1+√5/2。近似値は1:1.618。この比率の長方形は「黄金長方形」と呼ばれます。
黄金比を発見したのは、古代ギリシアの数学者エウドクソス。後にパルテノン神殿の建設にも使われ、「神の比」とまで言われました。私たち人間にとってもっとも美しく感じる比率とされており、現在も世界中のさまざまなデザインや構図にその比を見ることができます。
たとえば、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「モナリザの微笑」では、モナリザの髪の生え際からアゴの先を通る長方形が黄金長方形になります。
Apple社のロゴであるリンゴのマークは、直径が黄金比になっている円と長方形を組み合わせたものです。
他にも、サグラダ・ファミリアや凱旋門などの建築物にも黄金比が使われていると言います。
黄金長方形の短い方の辺を一辺とする正方形を切り取ると、残った長方形は再び黄金長方形になります。
さらにその黄金長方形から正方形を切り取っても、黄金長方形が残るのです。これは何度繰り返しても同じ結果になります。
白銀比
四角形のタテとヨコが1:√2。近似値は1:1.41。日本では「大和比」と呼ばれるほど深く根付いた比率で、黄金比よりも人気があると言います。
この比率で描かれた長方形の場合、長い方の辺を半分にしてできた小さな長方形は、必ず元の長方形と相似になるのが特徴です。
19世紀末にドイツでまとめられましたが、現在も紙加工仕上寸法(A3、B4など)に白銀比が使われているため、なじみのある人も多いでしょう。
白銀比は日本の建築物にもよく使われており、特に法隆寺の金堂正面の幅、五重塔のひさしは有名です。意外なところではキティちゃんの顔や体型、ドラえもんの体型なども白銀比だそうです。
青銅比
四角形のタテとヨコが1:(3+√13) / 2。近似値は1:3.303。黄金比や白銀比に比べ知名度が低く、デザインの現場でもほぼ使われることはありませんが、これも貴金属比のひとつとして存在しています。
貴金属比を意識することで、見る人の興味を惹く心地よいデザインを提供することが可能になります。デザインのクオリティーを上げるためにも、積極的に利用してみましょう!
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